リチウムイオン二次電池は1991年世界で最初に日本のソニーと旭化成が商品化を実現しました。
もともと1960年代にはすでにリチウムを電池に使用しようという考えがあり、二次電池への使用以前には充電式ではない一次電池として使用されていました。
1980年、グッドイナフと水島公一がコバルト酸リチウムを正極に採用することを発見し提案しました。これがリチウムイオン二次電池の正極の起源です。負極の研究では、当時の二次電池開発での負極候補は金属リチウムだったのですが、この金属リチウムは発火事故を起こすなど商品化には問題が多いものでした。
金属リチウムに変わる材料の研究が進む中、1981年に吉野彰らは電気を通すプラスチックポリアセチレンを負極に採用することを発見しました。
このプラスチックポリアセチレンは2000年にノーベル賞を受賞した白川英樹が発見したものでした。このポリアセチレンとグッドイナフと水島公一によって発見された正極にコバルト酸リチウムを採用することを組み合わせることによってリチウムイオン電池の実用化が実現されることになりました。こうして初めてのリチウムイオン二次電池ができました。
しかし、ポリアセチレンは電極材料としては不安定であることが問題であり、1985年吉田彰らはポリアセチレンに代えて炭素材料を負極としました。これで現在のリチウムイオン電池の構成が完成されました。
翌1986年にリチウムイオン電池のプロトタイプが試験生産され、1991年には旭化成、ソニーなどによって実用化されました。リチウムイオン電池は、現在携帯電話、ノートバソコン、携帯音楽プレイヤーなどの小型電子機器を中心に幅広く使われています。
こうした携帯用電子機器市場の発展にあわせてリチウムイオン電池も小型電池の開発に力が入れられましたが、一方で自動車産業などにおいてもエコカーに採用されていますし、宇宙産業といった様々な分野においても軽くて高性能なリチウムイオン電池の利用が進んでいます。