水などの溶媒に物質を溶かした際にその溶液が電気を通す性質を示すことがあります。これはその物質が水などに溶けて陽イオンと陰イオンになるためで、この陽イオンと陰イオンが電荷を持った粒子であるため電気を通すのです。このように電気を通す性質(導電性)を示す物質を電解質と言います。
日常生活によく耳にするものとしてはスポーツドリンクなどの話題があるでしょう。
汗をかいた際にはただの水ではなく塩分を含んだ水分を取るとよいと言われます。「汗をかいて電解質が失われた時にはスポーツドリンクで補給しましょう」というように言われますが、この時の電解質はナトリウムやカリウム、マグネシウムのことで、スポーツドリンクの水溶液に溶けてイオンになっています。汗と共に塩分が失われているのでこうしたスポーツドリンクで補給しようということです。
電池は正極材料、負極材料と電解質でできています。正極と負極の間に電解質が入って、正極と負極が直接触れ合わないようにしています。電池の発電は電極の金属が電解質に溶けだし、その際に発生する電子を使って行われます。一次電池の場合、電解質に溶けてイオンになってしまうと再生が難しい金属が使われているために充電ができないのです。
一方二次電池の場合は、充電器の電源につなぐと逆の反応が起こりイオンになる元の物質を再生できるため充電が可能なのです。電解質が溶けた液体を電解液と言いますが、ニッケルカドミウム電池やニッケル水素電池は電解液にアルカリ水溶液が使用されています。リチウムイオン二次電池は電解質はリチウム塩で電解液にはエチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどの有機溶媒が使用されており、リチウムイオンを移動させます。
通常電解質は電解液に溶けていて液体ですが、高分子ゲルと呼ばれる液体ではない電解質が注目されています。この液体の電解質は電池から漏れ出す可能性があり、あるいは漏れ出さないように容器を頑丈にする必要がありますが、こういった問題を解決するものとして液体ではない電解質が注目されているのです。